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今週のコラム
 11月19日吉村順三建築展に行きました。芸大美術館もついでの時に行こうと思っていましたが、なぜか行こうとする時が月曜日の休館にあたり、ようやく今回、晴れた良き日に訪れることができたのです。正面玄関奥には、軽井沢の山荘の矩計図がなんと原寸大に拡大してあるのではないですか!
びっくりしましたが、矩計図とはこのように原寸大に拡大してきちんと納まっているはずなのです。当然なのですが、お見事!と改めて感心しました。

 美術館3階には初期の活動から八ヶ岳高原音楽堂まで1/20から1/30の模型を展示してあり、感動です。軽井沢の家、山荘、浜田山の家、南台町の家も家具まできちんと作成されていて、敷地と一体となった豊かな暮らしへの表現を読み取ることができるのです。どの模型も室内をくるくる歩きまわると実に楽しく、僕も良く暖炉を設計するので分かるのですが、この暖炉の位置が絶妙なのです。くるくる歩きながら、居間のソファに座りふっと一息、庭を眺め、また調理台に向かう奥様の気持ちになり、食事を楽しみ、風呂に行き、洗濯廻りもついでに確かめここで洗濯ものを干しと、いたれりつくせり痒いところに手が届き思わずかいてしまうプランに感動するのです。

 湘南秋谷の家はコンクリートの独特のむくりを見せながら内部に吉村流のプロポーションを創りだしています。図面でしか見ていなかった僕はこの模型の流れるようなカーブと美しいプロポーションは図面では読み取れなかったところであり大変勉強になりました。
軽井沢の山荘は枠廻りの原寸図も展示されています。最近はキャドの図面を見慣れているわけですが、先生の事務所のこうした手描きの職人芸は常日頃スケッチを大切にする自分の姿勢をあらためて勇気づけていただくことになりました。

 軸組模型から、暮らしの実感できる模型を体験しながらまたディテールを考察しながら、構造的にムダのない美しいプロポーションと原寸障子の枠組や家具の配置はすべてが住まい手や環境への配慮の上にあり、そのことに深く感動するとともに、心の洗われる時間でありました。

 土曜日とあり、見学者も多く先生の作品の素晴らしさとともに工夫を凝らした会場構成にも魅了され予定した時間をすっかり過ぎてしまいました。

 

                                 (C)文・かたくら たかゆき

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かたくらたかゆき
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建築家
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自然に親しむこと
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豊かな暮らし向きを望むあなたに!
住まいの設計活動を通して住まい専門の建築家がありのままに毎日の生き方を語ります。
クライアントの方たちや家族そして自然との対話の中で常に暮らし向きの良い住まいを創造したいと思います。
住まいをもっと豊かに心地よく/片倉隆幸建築研究室FANPAGEもどうぞ!
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