家を改修している今、記憶にある1988年新建築住宅特集10月号の(故)内井昭蔵先生の文章を再読した。「我が家改修の記」の文章の中に・・・
「新しい建築でも優れた建築は多いが、長い歴史をくぐってきた古い建築にある微妙な雰囲気がない。このような微妙な雰囲気は教育にとって非常に大切なものであると思う。今日はあまりに簡単に住宅や学校が壊され、新しく建て替えられる。これは主に経済的理由からだが、経済も生活にとって重要な問題であるには違いないが、金銭にはかえられない価値があることを忘れてはならない。建築の建て替えや都市再開発は世界的現象だが、とりわけわが国は建築を簡単に壊して何も感じない人が多い。これでは都市空間や生活空間の質の向上は得られないし、文化を生み出すこともできない。何もヨーロッパの伝統的都市を出すまでもないが、いまでもダンテが住んでいた家とかミケランジェロのつくった家などが存在するのを見ていると、歴史が現在と連続しているのが感じられる。人間の生活にとって大切なものは、精神やものの蓄積であって連続感ではなかろうか。私たちの生活空間は機能的で利便性があり、経済的でなければならないのは当たり前だが、長い歴史をかいくぐってきた丈夫な古い家や古い街並みといった、心をつなぎとめる要素がなければならないと思う」
お父様も建築家であられた内井先生は、多くを学び、感性を受け継いだように思います。
「このようなことから、私は新築するのではなく、現存する父の家にさらに私の考え方を加え、改修する方法を選んだ。改修にあたっては原形を活かしながら、現代の感覚に合うよう新しい工夫も付け加えることとした。自分の育ってきた空間に私の感覚や生き方を加えることにより、この空間の質が高まり厚みと深みが生まれることとなる。建築は生きものとよくいわれるが、本当にその通りであって、このように親から子へと受け継がれるにつれて、さまざまな要素が加り、空間の密度が高まり活性化し、生命力を回復することになる。
この住宅もやがて次の世代に受け継がれるのであろうが、その時も再び、新しい手を加え、生命力をもち続けることを期待したい。」
昭和初期のモダン建築の住まいが60年を経て改修する時の内井先生の言葉です。
26年前の記事です。僕が事務所を持ち3年目くらいの時でしたが、この記事は深く印象に残っていた。今でこそ建築物の長寿命化と文化資産化を目指して・・・建築を大切に使い・・・うるおいのある街並みを育てましょう・・・公益社団法人日本建築家協会からの発信ですが、再度心のこもったお言葉に感動しました。
歴史は浅いが
我が家は祖父の時代の土地を移り、高度成長期に鉄骨造でつくられ、36年の経過。その間増築もしてきました。たいしたこともできないが、骨組がしっかりしているので住みながら手を加えています。僕の描いた図面とスケッチにより大工さんには無理をお願いしています。亡き父が伐った庭の栗、欅の木を乾燥しておいたこともあり玄関の床に栗の30mmを敷いてみた。内井先生のいわれるように空間の密度が高まり、新しい生命力をもってきたような気もします。
10日(木)はウェジョビの授業。午前中は建築基礎の授業は「断面構成」の課題を出題。午後は皆で美術館の講評会を行い楽しく充実した時間でした。日々手を練り、考察をきちんと行うこと。愛情をもって自分の設計課題に取り組むことを伝えた。
11日(金)まちづくりワークショップ「旧庁舎活用による市民参加のまちづくり」チームの学習会を旧庁舎2階講堂にて開催。我がチームの最初の学習会は岡谷市文化財保護審議会会長で諏訪総合設計の代表宮坂さんに講師を務めていただき構造と歴史の話をお聞きしました。
12 日(土)午前中はウエジョビの学生と君島さんの建築を見学。夕方は大工さんと家の改修工事、中間の慰労会。
14日(月)午後からJIA館1階 建築家クラブにて 住宅部会規則WG、住宅部会会議に出席して、夕方からのトークイベント 林寛治さんと片山和俊さんの「山形県金山町まちなみ再生の試み」を拝聴して新宿発21:00のあずさにて岡谷に戻る。
(C)文・かたくら たかゆき
「新しい建築でも優れた建築は多いが、長い歴史をくぐってきた古い建築にある微妙な雰囲気がない。このような微妙な雰囲気は教育にとって非常に大切なものであると思う。今日はあまりに簡単に住宅や学校が壊され、新しく建て替えられる。これは主に経済的理由からだが、経済も生活にとって重要な問題であるには違いないが、金銭にはかえられない価値があることを忘れてはならない。建築の建て替えや都市再開発は世界的現象だが、とりわけわが国は建築を簡単に壊して何も感じない人が多い。これでは都市空間や生活空間の質の向上は得られないし、文化を生み出すこともできない。何もヨーロッパの伝統的都市を出すまでもないが、いまでもダンテが住んでいた家とかミケランジェロのつくった家などが存在するのを見ていると、歴史が現在と連続しているのが感じられる。人間の生活にとって大切なものは、精神やものの蓄積であって連続感ではなかろうか。私たちの生活空間は機能的で利便性があり、経済的でなければならないのは当たり前だが、長い歴史をかいくぐってきた丈夫な古い家や古い街並みといった、心をつなぎとめる要素がなければならないと思う」
お父様も建築家であられた内井先生は、多くを学び、感性を受け継いだように思います。
「このようなことから、私は新築するのではなく、現存する父の家にさらに私の考え方を加え、改修する方法を選んだ。改修にあたっては原形を活かしながら、現代の感覚に合うよう新しい工夫も付け加えることとした。自分の育ってきた空間に私の感覚や生き方を加えることにより、この空間の質が高まり厚みと深みが生まれることとなる。建築は生きものとよくいわれるが、本当にその通りであって、このように親から子へと受け継がれるにつれて、さまざまな要素が加り、空間の密度が高まり活性化し、生命力を回復することになる。
この住宅もやがて次の世代に受け継がれるのであろうが、その時も再び、新しい手を加え、生命力をもち続けることを期待したい。」
昭和初期のモダン建築の住まいが60年を経て改修する時の内井先生の言葉です。
26年前の記事です。僕が事務所を持ち3年目くらいの時でしたが、この記事は深く印象に残っていた。今でこそ建築物の長寿命化と文化資産化を目指して・・・建築を大切に使い・・・うるおいのある街並みを育てましょう・・・公益社団法人日本建築家協会からの発信ですが、再度心のこもったお言葉に感動しました。
歴史は浅いが
我が家は祖父の時代の土地を移り、高度成長期に鉄骨造でつくられ、36年の経過。その間増築もしてきました。たいしたこともできないが、骨組がしっかりしているので住みながら手を加えています。僕の描いた図面とスケッチにより大工さんには無理をお願いしています。亡き父が伐った庭の栗、欅の木を乾燥しておいたこともあり玄関の床に栗の30mmを敷いてみた。内井先生のいわれるように空間の密度が高まり、新しい生命力をもってきたような気もします。
10日(木)はウェジョビの授業。午前中は建築基礎の授業は「断面構成」の課題を出題。午後は皆で美術館の講評会を行い楽しく充実した時間でした。日々手を練り、考察をきちんと行うこと。愛情をもって自分の設計課題に取り組むことを伝えた。
11日(金)まちづくりワークショップ「旧庁舎活用による市民参加のまちづくり」チームの学習会を旧庁舎2階講堂にて開催。我がチームの最初の学習会は岡谷市文化財保護審議会会長で諏訪総合設計の代表宮坂さんに講師を務めていただき構造と歴史の話をお聞きしました。
12 日(土)午前中はウエジョビの学生と君島さんの建築を見学。夕方は大工さんと家の改修工事、中間の慰労会。
14日(月)午後からJIA館1階 建築家クラブにて 住宅部会規則WG、住宅部会会議に出席して、夕方からのトークイベント 林寛治さんと片山和俊さんの「山形県金山町まちなみ再生の試み」を拝聴して新宿発21:00のあずさにて岡谷に戻る。
(C)文・かたくら たかゆき
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建築家
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自然に親しむこと
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豊かな暮らし向きを望むあなたに!
住まいの設計活動を通して住まい専門の建築家がありのままに毎日の生き方を語ります。
クライアントの方たちや家族そして自然との対話の中で常に暮らし向きの良い住まいを創造したいと思います。
住まいをもっと豊かに心地よく/片倉隆幸建築研究室FANPAGEもどうぞ!
http://www.facebook.com/archhall
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