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今週のコラム

設計報酬については、1206号告示に替わり平成21年国土交通省告示第15号(平成21年1月7日)請求することのできる報酬基準というものが発表された。
先日一級建築士の3年毎の定期講習を受講して修了証が届いた。テキストの内容を振り返ると建築士法違反の罰則として業務停止1ヶ月から免許取消までの内容が記されていますが、それと違い法律で決めていただいた報酬を守らなくても唯一罰則規定がない!?のだ。あくまで基準に過ぎない。

構造計算を必要とする45坪程度の住宅ですと坪75万としても3375万円の工事費であるが、工事監理まで1407時間という数字を告示は出しています。僕のように住宅設計に徹底して取り組む立場からすると、手のこんでくる住まいになるととてもこの時間では終わらないことが多いです。この報酬の基準の時間を計算しても設計報酬は工事費の26%くらいを請求しても良いことになっています。

前述したように1206号告示はもう古いのですが、渡辺武信先生の著作「住まいのつくり方」の中で、「1206号による算定はあくまで指針に過ぎない。建築家にとっては残念ながら、現状ではこの指針の基づく料率をある程度下げた設計料が通用している。少数ながら満額を得ている建築家(たとえば故・林雅子さん)もいるが、大多数の建築家は指針より低い料率を算定している。・・・

 しかし最低でも指針による額の半分程度つまり工事費3200万の住宅ならば13%以上(監理も含む)が妥当でそれよりはるかに低い数字で設計監理を行う者がいたら、それは真の意味での建築家ではないと思って警戒したほうがいい。」と述べています。





庭先の花

 そして故・宮脇檀の著書「住まいとほどよくつきあう」の中で氏は、
「たとえばわが事務所の場合、一軒の住宅を設計するのに担当者の所要時間が1000~1500時間(現場監理も含むから、遠隔地だと往復の時間も入れる)、ぼくが100~300時間、設計が始まって家が建ち始めて何だかんだと云って(1.5年)打合せの回数でいうとお施主さんと約40回、業者とでは、120回くらい(電話や手紙による打合せも含む)。
平面図から始まって断面図、立面図、詳細図から原寸図という図面枚数にして60~100枚という手間をくったところで、設計料というのはちゃんと取れればの話だがだいたい工事費の15%~20%(5000万円の家で20%、つまり1000万円)というところだが、1000万円の金で、一つの組織がこれだけの量で動いてモトがとれるかどうかは、ちょっと計算してみれば誰にでもわかる。」とずいぶん昔に述べています。
 
 今回は設計報酬について述べてみました。

友人の建築家・君島弘章氏は、「腕のたつ建築家ほど、優しく柔軟に、あなたのその思いに耳を傾け、あなたの役に立とうとするはずです。建物、家は設計図以上にも以下にもならず、設計図のとおりにしかならないのです。簡単な図面ですませようなどという施主の手抜きからは自邸の喜びは生まれません。素敵な家づくりができるか否か、それは金額の大小などではなく、あなた自身の行動の中にあるのです。」とある雑誌に書かれています。


設計というものが、設計者の独断で進めるのではなくクライアントとの深いコミ二ケーションから成り立つことの大切さを述べています。







まもなく完成 森に詠う家

 どうぞ参考にされてください。



(C)文・かたくら たかゆき

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クライアントの方たちや家族そして自然との対話の中で常に暮らし向きの良い住まいを創造したいと思います。
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