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今週のコラム
 故・吉村順三先生は著書「建築は詩」の巻頭に 

「建築家として、もっとも、うれしいときは、建築ができ、そこへ人が入って、そこでいい生活がおこなわれていることを見ることである。

日暮れどき、一軒の家の前を通ったとき、家の中に明るい灯がついて、一家の楽しそうな生活が感じられるとしたら、それが建築家にとっては、もっともうれしいときなのではあるまいか。家をつくることによって、そこに新しい人生、新しい充実した生活がいとなまれるということ、商店ならば新しい繁栄が期待される、そういったものを、建築の上に芸術的に反映させるのが、私は設計の仕事だと思う。

つまり計算では出てこないような人間の生活とか、そこに住む人の心理というものを、寸法によってあらわすのが、設計というものであって、設計が、単なる製図ではないというのは、このことである。

と述べています。なんて素晴らしい言葉でしょう。

 この本はいつも手もとにおいて振り返る一冊です。

 ひたすら仕事をまとめて今年も手がけてきた住まいをふりかえります。
今回のホームページの巻頭の「星を眺める家」・・・車椅子生活のお父様とご夫婦と子供3人で住まわれます。車椅子の動線に注意しながら 普通の家を創ろうとつとめてきました。



先生の言われるようにいつも住む人の心理を寸法に表していくとこところが設計の妙と言えます。

 何はともあれ家の中の灯がついて・・・楽しそうな生活・・・先日も奥様から「あたたかく快適です」というお言葉をいただき本当にうれしく思いました。

 5日(金)親友の建築家Kさんの最新作を見に行った。この日は大雨となった。
長野市内信州大学の教育学部付近に位置する25坪の小住宅である。
玄関があるかないか、入ると美しいダイニング・キッチンの空間である。



 伊東豊雄の松本市民芸術館を二人で見学したこともあったが、あのランダムな外壁の切り抜きに似た表情の建築であり内部もアクリルワーロンを利用した一見ランダムに見えるが法則性(アルゴリズム)のある美しい空間である。
柔らかいワーロンはきっと室内気候や季節の変化で微妙な肌理を見せてくれるはずでその時の光の変化が楽しみです。

住まう人に豊かさを与えてくれる力作です。この表情は松本市民芸術館では出せない表情と感じました。今後の氏の展開が楽しみです。

素晴らしい建築を見せていただきました。

クライアントはきっと創造力豊かな毎日を送るでしょう。

 (C)文・ かたくら たかゆき

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かたくらたかゆき
性別:
男性
職業:
建築家
趣味:
自然に親しむこと
自己紹介:
豊かな暮らし向きを望むあなたに!
住まいの設計活動を通して住まい専門の建築家がありのままに毎日の生き方を語ります。
クライアントの方たちや家族そして自然との対話の中で常に暮らし向きの良い住まいを創造したいと思います。
住まいをもっと豊かに心地よく/片倉隆幸建築研究室FANPAGEもどうぞ!
http://www.facebook.com/archhall
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