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今週のコラム

  19日(水)午後 「湖畔の片流れ」の完了検査があり市役所の建築課の検査が行われ、無事終了。-10℃という朝が続いたが、ここ2日ばかりは風は冷たいが気温はそれほど寒くはない。穏やかに晴れた一日である。
   20日(木)大寒。
大阪ガスエネルギー・文化研究所CEL95号の中で作家の塩野米松さんが、木造建築の技術と文化を現代につなぐ の中で 法隆寺の西岡棟梁と弟子小川さんの関係から 「大工になるということは大工という体を作ることだと。感覚も、考えも、動作も、技も全て体にみにつけるものである。それは師をまねることから始まる。どうやれば早く覚えられるか、身につくか。考え出せば遠周りであった。言葉は感覚を身につける道具ではなかった。言葉は大工の体を作ってくれない。時間がかかっても体に師の感覚を写し取り、技を記憶させるしかなかった。木の癖を読めるようになるためには手道具で木に触れるしかなかった。手道具を使い、多くの作業を繰り返すことで身につき、えられることが出てくる。それを積み重ねるしかないのである。」
「それは西岡氏から小川氏に、そして小川氏から弟子たちに、人から人へ、手から手に技と感覚を写し渡していくことであった。その技法や木に対する考えは飛鳥の工人からのリレーである。」さらに 「教科書は人であり、残された建物である。こうした方法が間違っていなかったことは1300年たち続ける法隆寺が保証してくれる。」とも述べていることにあらためて感動します。

 21日(金)「湖畔の片流れ」の検査済証をいただき22日(土)М工務店の協力にてオープンハウスを実施した。土曜日とあって大勢の見学者が訪れました。午後は池上君も参加して説明をしてもらう。
この日夕方は「星空に語らう住まい」の新築お披露目会に柴崎さんと出席。Оさん御家族、F建設、職人さんとおいしいお料理とお酒をいただき楽しい夜でした。望遠鏡から見せていただいた宇宙にも感動です。Оさん本当にありがとうございました。

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23日(日)は引き続きオープンハウス。大勢の方が来られ僕も技術的な説明もさせていただきましたが、まず重要なのは図面です。図面には建築主のお人柄や要望等の全てが翻訳されています。 その尊い図面がしっかりしてこそ以心伝心職人さんたちは奮い立ち良い仕事をされるのです。

「建築家」の仕事は建築主の意図をまず図面として表し、次いで建物として現実化することである。この過程で「建築家」は工事金額や工事内容が適正であるかどうかを判断するのだが、これは「建築家」が施工業者の支配下にあってはできないことだ。施工業者からの独立性が「建築家」の必要条件なのはこのためである。


以下敬愛する建築家渡辺武信さんの文章を途中からですが引用しましたので参考にされてください。


★ 建築家といかにして出会うか

ここまで述べたことで分かるように、人が住まいにしろ、その他の建築にしろ、自分の気持ちを十分にこめた物を造ることは、ある意味で自分の人生観を問い直し、点検し、確認することである。建築家はその作業を助ける存在なのだ。つまり建築家は、専門技術者でもあるのだが、それだけでなく医師や宗教家とも共通点を、持つ精神の導き手でもあり、少なくとも心ある建築家はそうあろうとつとめている。
前述のように建築には唯一の正解というものがない。そこで一つ答えを選択するときの支えは、一つには建築主の人生観である。しかしまた、それをどう読み取り、設計に反映させるか、ということは建築家の側の人生観にかかっている。つまり建築家のほうにも個性があり、それによって言うことも違うだろう。もちろん建築家は、プロだから私人としての個性をかたくなに守るだけではなく、自分の個性をできる限り広げて、住み手の個性との接点を見つけようと努める。しかしそれでも、誰でも同じというわけにはいかないのは当然だ。だから建築家に設計を依頼する場合の最初の大問題は、どの建築家を選ぶか、ということである。建築主と建築家は異なる人間だから、何でも気が会うということは考えられず、だからこそ議論も生じる。しかしその個性の違いには何か響き合う共通点がなくてはならない。そうであってこそ、議論が喧嘩にならず、信頼を基礎にし、お互いを尊敬し合う人間同士の対話が成立するのである。逆に言えば、全く肌の合わない建築家に設計を依頼することほど不幸でくたびれることはない。ではどうすれば、自分と肌の合う建築家に出会えるだろうか。それは幾人かの建築家に合ってみる他はない。建築家というものは、すぐに設計を依頼するのではなく、いわば「お見合い」として会うことを決して拒まないし、そこで具体的な作業が伴わなければ報酬を要求しない(しかし、設計や準備作業に入ってから途中で断る場合は、当然、そこまでの報酬を求められる。だから依頼する側でも、
お見合いのうちは具体的な作業を要求しないように注意すべきである。)このようにして、建築家を捜すのもけっこうくたびれることだ。しかしそれは誰でもないあなた自身の幸せを求める道と言えよう。その努力を回避して向こうから売り込んでくる建築家(そういう自称・建築家もいないでもない)や、たまたま紹介された建築家の個性をよく見極めずに設計を依頼して、その結果がうまくいかなくても、それは建築家ではなくあなたの責任である。
心ある建築家はあなたに門戸を開きつつも、自分で売り込むのではなくあなたが訪れるのを待っている。
建築家は自分を選んでほしいのであり、選ぶのはあなたなのだ。建築家の選択は確かに努力を要するが、もし自分と肌の合う建築家と出会い、一緒に建築を創っていくことができれば、それは虚栄や見栄ではない、
言葉の真の意味でこの世で一番ぜいたくな、かつ楽しいことの一つであろう。

Ⓒ 文・かたくら たかゆき

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住まいの設計活動を通して住まい専門の建築家がありのままに毎日の生き方を語ります。
クライアントの方たちや家族そして自然との対話の中で常に暮らし向きの良い住まいを創造したいと思います。
住まいをもっと豊かに心地よく/片倉隆幸建築研究室FANPAGEもどうぞ!
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