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今週のコラム
15日(金)住宅部会では利美さんの旅の講演の後盛大な忘年会となりました。

16日(土)のLIXILセミナーは内容のあるセミナーとなりました。

■大川さんより
・日本の住宅は、量的にはすで足りているのはご存知の通り→空家が増えている(8 軒に1 軒が空家)
・それでも未だ新築を年間90 万戸程度建てている→(一部を除いて)建物寿命が来ているのではない→建替えの理由提示・・・耐震や温熱環境など性能に対する不安を理由にする事も多いが、これからは
その割合は少なくなって行く→ その都度建替えているとライフスタイルが変化する25~30 年事に建替えないといけなくなる(現に日本の住宅の寿命は26 年程度と言われている)
・構造や断熱などは改修・リニューアルしてクリアー出来る。設備は消耗品なので、一定期間に更新の必要有り。→コストは建替えない方が得な事が多い→そこには、性能だけではない何かがあるのでは。。。

<事例によるプレゼンテーション>

■片倉・・・・改修事例
・修景 景観との調和を含む「修景」という建築の 在り方は家族の思い、住み手の使い方が 家の歴史と積層していくことにより世代を 超えて住み継がれる住まいの在り方がいかに大切かを理解できます。
・愛着 住み手の人生観から生まれる住まいの価値、毎日使う場所の洗練が生活の思想を表す、毎日使う場所は祈りの場、精神の居場所
・温熱性能の向上
・住まいてが生み出す住まい方の思想
・暮らしの肯定・歴史の継承

■小山さん・・・・事例
「住み継がれるデザインと住み継ぐデザイン」
~両方ともサスティナブルな社会には大切なアプローチ~
◎住み継がれるデザイン(新築等)
・住まい方を自由にする建物の輪郭を創る。
・自由な空間を造るために、出来る限り構造と外皮を融合させる。
・また、後から直すのが大変なものをしっかり造る。
◎住み継ぐデザイン(リノベーション等)
・既存建物の文脈を理解して、良さを引き出す。
・実際に、物理的に動かせる所と動かせない所を整理する。
・物理的な制約に対して、新たに前向きな解釈を与えて活かす。
◎共通して大切なこと(ストーリー)
・一度見たら忘れないような愛着の持てる個性を創る。
・制約を少なくして、空間の自由度を高める。
・住まい方のイメージを喚起させる。

■まとめへ

長く住み継いで行く為に大切な事

1、コストが掛からないで住める→ランニングコストを少なく、適切な時期のメンテナンスが大事
2、家に必要な性能(安全・安心・快適)が備わっている、耐震性、耐候性・温熱環境・・・必要条件
(改修して獲得出来る)
3、生活の満足度・充実感が得られているか・・・・
4、記憶の継承を大切にする。自分たちの暮らしを肯定する。

17日(日)は岡谷市テクノプラザにて 我々岡谷市旧庁舎活用チームの主催するまちづくり講演会。首都大学東京大学院教授の山田幸正先生のレクチャーは有意義な時間でした。終了後も先生の電車の時間まで忘年会・・・

以下内容を添付します。

歴史的な遺産・景観を活かす協働のまちづくり

山田幸正

1. はじめに

 「文化財保護法」は昭和25(1950)年に公布されたものであるが、実は明治30(1870)年の
「古社寺保存法」以来のさまざまな文化財保護にかかわる一連の制度・法律をひとつにまとめたものである。この法律の第一条の法の目的には、「文化財を保存し、且つ、その活用を図り(下線は筆者)、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献すること」とある。文化財は保存するとともに、活用することがきちんと謳われているのであるが、これまではもっぱら保護と保存がなによりも優先されてきたと言えよう。
 しかし、それも大きく変化しつつある。先日(2017年12月9日付の新聞報道など)、文化庁の文化審議会は、文化財保護制度の見直しについて文部科学相に答申を提出した。また、これに基づいて、次の通常国会で文化財保護法の改定が審議されることになる。その内容をみると、
地域の文化財の保存や活用に関する中長期的な計画を市町村ごとに策定することを認め、文化財の現状変更にかかわる権限の一部などを市町村に移譲するなど、これまで国がもっぱら担ってきた文化財の保護と活用に関する施策の権限の一部を地方に委ねることになる。これにより、
歴史的建造物や無形文化財を活用した地域振興が計られ、保存の担い手が増えることが期待されている。

2. 文化財保護施策の最近の動き

 文化財保護法はじめ、これに関連した法体系のこれまでの経緯をながめてくると、「文化財」に対する考え方の変化がみてとれる。とくに保護・保存すべき対象物が、単体の「歴史的建造物」から集合体としての「伝統的町並み」「文化的景観」へ移行してきたことがわかる。当初は「歴史的記念建造物」として、誰もが間違えなく認めるような立派な建造物の単体を保存することがもっぱら実践されていた時代から、「伝統的町並み」、さらには「文化的景観」へと集合体や文化的セッティングが主たる関心の場となりつつある時代へと変化、進化しつつある。言い換えれば、「より身近な」文化遺産が、文化財保存の実践の対象となりつつある時代になったのである。また、その保護・保存の手法においても、当初は歴史的建造物がもつ固有の文化的価値をそのまま「凍結保存」すること、すなわち、歴史的建造物のもつオーセンティシティAuthenticityの保持と継承こそを主眼とした文化財施策であった。このことは文化財保存の要諦であることには依然、変わりはないが、上述のように、保存の対象が集合体や景観という身近なものとなり、
より実生活に直結するものだけに、凍結保存の手法だけでは対処しようがなくなったことも事実である。そこで、使いながらも文化的価値などを後世に伝えていくという保存手法、「動態保存」が実践されはじめている。その中心となるのが、町並み保存であり、登録文化財制度であり、将来的には文化的景観の保存もこうした手法の主戦場となるであろう。

3.文化的景観と登録文化財

 倉敷、金沢、京都市などによる都市の歴史的環境保全への取り組みは先駆的であり、むしろ国の施策に先駆けたものであった。ただ、こうした地方自治体の条例による「景観規制」には法的な拘束力が弱く、景観規制を定める全国一律の法律制定が望まれていた。そうした背景から、平成16(2004)年に公布されたのが、いわゆる「景観緑三法」で、景観法、景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律、都市緑地保全法等の一部を改正する法律からなるものである。これにより、地方公共団体に一定の強制力を持たせ、関連する法律・条例の整備を促す国としての法体系が整ったのである。この景観法制定にともなって、文化財保護法のなかに「文化的景観」が位置づけられた。それによると、「地域における人々の生活または生業および当該地域の風土により形成された景観地でわが国民の生活または生業の理解のために欠くことのできないもの」と定義されている。いかにも難しい表現となっているが、要は一見自然の風景のように見えるものでも、人々の生活のもととなっている、あるいは生活を映し出す一部となっているような風景をさしている。とはいえ、個々の文化的景観をきちんと捉え理解することはそう簡単なことではない。 景観法に先だって、平成8(1996)年6月に創設された登録有形文化財制度において、
現在までにすでに全国で1万件を越える古建築が登録されている(2017年12月1日現在:11,502件)。我々の周囲には遺しておきたい風景があり、その中には身近な建造物であっても、多くの地域の人々に知られ親しまれた建物、その地域の時代の特色をよく表した建物、現代の技術・技法・材料などでは再建することができない建物が含まれている。身近な建物であって、その地域の歴史と文化にとってはかけがえのない価値を有したものが存在する。こうした古建築を「地域の資産・資源」として活かすための制度、それが登録文化財制度である。

4.文化的景観・文化遺産の総合的把握の試み

文化審議会文化財分科会より、2007年10月、「歴史文化基本構想」が提唱された。市町村などの地方公共団体に、文化財を核として、地域全体を歴史・文化の観点からとらえ、各種施策を統合して歴史・文化を生かした地域づくりを行っていくための計画の策定を促すもので、冒頭の文化財保護法改定にもつながるものである。具体的な課題などを洗い出すために、2008年度から3カ年にわたり、日本全国から20の市町村を選定して、「文化財総合的把握モデル事業」が実施された。これに東京都から唯一、西多摩郡日の出町が選ばれた。日の出町では、6つの分野(景観、生物、石造物、仏教美術、民俗学、建築)に分け,それぞれ専門的な調査等を3年間にわたり実施し、数度の住民意見交換会などを経て、文化的価値を有するモノを洗い出し、「日の出町歴史文化基本構想」として取りまとめた。結局、日の出町における文化的所産は、下記の4つのテーマのもとで総合的に把握されたとした。

①卒塔婆産業~モミの木が支える産業(羽生・萱窪・水口地区):江戸元禄期より周辺の山林に、木肌が白く朽ちやすいモミの木を育て卒塔婆を生産してきた。モミは全国生産の6~7割を占める「町の木」であり、卒塔婆生産は伝統的地場産業である。羽生家一族の屋敷や建物、その周囲で営まれてきたモミの林、製材や木工の営み、モミ材の板を並べて乾燥させる風景、関連する行事などで構成される。
②御嶽信仰への道~信仰とその道しるべ(三ツ澤・肝要など参詣路沿い):日の出山を経由して御嶽山へむかう信仰の「路」沿いには、御嶽信仰を色濃く残した文化遺産が数多く点在する。稲村石・肝要石などの巨石の道標、多くの地蔵尊、シダレアカシデなどの大木など。三ツ澤には御嶽神社に所属する御師の家や年中行事を伝える家などがある。
③セメント産業と鉄道~近代化(新井・幸神・岩井地区):勝峰山の石灰石採掘とセメント産業を支えた旧五日市線岩井支線の駅舎跡や廃線路で構成される産業遺産群。旧大久野駅周辺には、従業員社宅、当時からの店舗、公民館、郵便局などが当時の繁栄を伝える建築物が遺こる。
④川と里山の生活文化~宿場町の祭り(平井・谷ノ入・足下田):周囲の里山の深い森から流れ出る清流を基盤とした人々の暮らしは、かつての宿場町として形成され、そのなかから生まれた様々な祭礼がうまれた。雨乞いを起源とする鳳凰の舞、五穀豊穣を願うサイノカミの祭りなど水に関連する伝統行事は地域文化の礎である。

 文化財の総合的把握として日の出町での試みがわかりやすく、その後の文化施策に繋がっているかと言われれば、やや疑問は残るものの、無形・有形の文化財の枠を越え、周辺部・周辺領域を含めて、それらを関連づける試みは、全国に「普通にある」中山間地域の町や集落にとって非常に参考になるものであろう。個々の文化遺産を丹念に調べ、それらの固有の価値を理解し、その全体像を把握する。ひとつの文化的な「ストーリー」を紡ぎ出し、それを広めることで、その地域の文化的な価値を幅広く認知してもらうことつなげていく。つまり、わかりやすい「文化財」だけでなく、身近な何気ないものまで含めた「モノ」を掘り起こし、周辺部・周辺領域を含めて、丹念に調べ、それらの固有の価値を理解し、それらを関連づけ、「地域資源」として位置づける試みが、一部ではあるが、すでに始まっている。

5.文化的価値の把握と理解

文化遺産の価値とはどのように捉えるのか?世界遺産登録における「基準」で用いられているのが、「顕著な普遍的価値 OUV(Outstanding Universal Value)」である。そのうち、文化遺産の登録基準とされるOUVは以下の6種のクライテリアに分類されている。
i)人間の創造的才能を表す傑作である。
ii)建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
iii)現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。
iv)歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、或いは景観を代表する顕著な見本である。
v)あるひとつの文化(又は複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である。(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)
vi)顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。世界遺産登録にあたっては、これらの基準(クライテリア)を設定したうえで、それを構成する資産でそれぞれ物証することが求められている。例えば、我が国最初に1993年、世界文化遺産登録となった「法隆寺地域の仏教建造物」では(i)(ii)(iv)(vi)、同じく「姫路城」では (i)(iv)となっている。おおよそ1999年の登録の「日光の社寺」(i)(iv)(vi)までは建築的傑作を含んだもので、比較的誰にでもその価値の高さは理解できるものであった。ただ、2000年以降になると、その様相が少し変化しだし、文化的景観や参詣道、考古学遺跡、関連遺産群など、一般に捉えにくい構成資産が年々増え続けている。この傾向は日本だけはなく、世界的な傾向ともいえる。
世界遺産条約の成立から間もない時期は、イタリア、フランス、スペインなどの著名な歴史的建造物、世界的な文明を象徴するモニュメントなどがどんどんと登録されていた。その後次第に、世界遺産の「南北問題化」と呼ばれる現象が指摘され始めた。つまり、世界文化遺産の分布を世界地図上で眺めた場合、ヨーロッパを中心に北半球の地域に多く、アフリカやアジアにその数が少ないというものである。それでは、そうした地域の文化遺産をどんどん登録しよう(現にそのような動きになっている)とした場合、さらに別の問題が立ち現れる。遠く離れたアフリカやアジアの文化や歴史を正しく理解し、その価値を正しく説明できる人はそう多くない(現地の人でさえ、同じようなものである)。当然、分布の問題だけでなく、文化遺産の質の多様化を求める意見が強まっている。このように世界文化遺産という舞台でも、多種多様な文化遺産を把握するための新たなアプローチが模索されている。有形・無形を問わず身近な文化遺産も、同じように、なかなかその価値を把握し説明することは、見た目に顕著ではないだけに難しいと言える。近年の世界遺産登録においては、「ある文化的価値valueは、それぞれ固有の属性attributionをもった複数の要素(因子) によって成り立っている」という考え方が、OUVの説明に使われている。つまり、それぞれの要素(世界遺産では構成資産)の属性を、ある価値(世界遺産ではOUV)に対して明確化し、それらを組み上げることで、その価値を物証しようとするものである。こうしたアプローチの仕方は、身近な文化遺産の把握にも使えるのではないかと考えている。すなわち、個々の要素はとるに足らないもので、またバラバラに分散していても、ひとつの価値をめざして、それらの要素の属性を示すことができれば、また、それらの要素を関連づけることができれば、その総体としての文化的価値を把握したことになるのではなかろうか。

6.「歴史的遺産・景観を活かす協働のまちづくり」をめざして

近年、登録文化財制度や景観条例などをテコに、市町村が主体となってその土地の歴史や文化を活かした「まちづくり」を試みる動きが各地にみられるようになった。また、冒頭述べたように、国も「文化財保護政策の地方分権、保存と活用の両立」に大きく舵をきったかにみえる。これまでもそうであったように、文化財の保存と活用には国など公的機関などからの補助金・助成金はある程度、必要であり、今後の拡充も望まれるが、しかし、おそらくその対象となる件数は膨大なものとなり、現実的にもそれほど手厚いものは期待できない。補助金など公的な援助が得られないことでみすみす姿を消してしまった事例は枚挙にいとまがない。保存しようとする側でも補助金などだけに頼ることは非現実的と言わざるを得ない。そもそも、文化を維持・継承する意義はどこにあるのか。文化価値の維持・継承によって、その社会が豊かであることを多くの人が享受できることにあるのではないか。それがより身近な文化的価値をもつ建物であれば、どうであろうか。身近なものだけに主体的に理解しようとしないと正しく理解できないものも多いそれだけにまずは、その建物の文化的価値を理解する努力が必要となろう。その上で、税金を納めて傍観するだけでなく、多少の知恵や労力を出し合って関わりあうことで、自覚と責任が生まれ、その建物の価値をさらに高めることができるだろう。その地域における過去からつながるさまざまな文化的価値を紡ぎ合せることによって、現在に至るストーリーをして纏め上げることが、こうした文化遺産の保存と継承には重要であろう。さらには、こうしたストーリーが将来にむけての付加的価値を伴った新たな文化につながりうると考えたい。すなわち、身近な文化遺産としての古建築の保存と活用は、より広い人々の高い自覚と責任に裏付けられた関心と関与こそが必要不可欠であると思う。


(C)文・かたくら たかゆき

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